一宮町のビストロ

このコラムも気づけば1年間放置してしまった。

 

前回の投稿から季節も3回程変わり

 

手がけた店舗も一先ず落着した。

 

と言ってもそれも8か月も前の話である。

 

「一宮町のビストロ」

 

https://www.facebook.com/laRichesse1/

 

お陰様で施主でありシェフとパティシエである

 

2人の腕でお店は好調のようだ。

 

 

 

前回までの記事でこの店の設計の経緯は綴ってみたが

 

周囲から工事の内容を聞かれることが多いので

 

振り返ってみようと思う。

 

 

先ずは解体。

 

 

 

躯体外周部分以外はほぼ全て施主と自分の3人で解体した。

 

解体材もよい状態

 

味のある材は再利用すべく丁寧にばらしていく。

 

基本的に大工さんからのおさがりの工具しかなかったので

 

中々の労力となった。

 

解体が一区切りついた所で内装の木工事が始まった。

 

 

今回は中々の厳しい予算だったが

 

損得勘定抜きに隣町長生村の「建匠舎」が参加してくれた。

 

http://www.kensyousya.com/

 

彼らの参加無しでは成し遂げることは難しかったと思う。

 

そのご縁を繋げて頂いた茂原の「ヨシモク」

 

も材料支給でお世話になった。

 

http://yoshimoku.com/

 

 

 

大工が壁・床・天井の下地を仕上げ

 

そこに3人で左官下地の木摺や仕上の杉板を張っていった。

 

 

 

この頃になると施主も工具を一通り使いこなせる様になり

 

 

 

段取りよく日々の作業をこなしていく姿が頼もしかった。

 

友人たちもちらほら手伝いに来てもらうことが増えてきて

 

現場も活気づいてきた。

 

 

 

 

年が明けていよいよ左官工事。

 

以前よりお世話になってる大森さんが孤軍奮闘してくれた。

 

 

今回の仕上げは通常では漆喰を数回塗り重ねていくところを

 

減額案を逆手にとって木摺の上に1度塗りで仕上げてみた。

 

 

 

結果、木摺が透けて

 

灰汁が適度に漆喰の清潔感を消してくれて

 

改修した部分の痕跡が遺り

 

アンティーク建具を引き立てる内装に仕上がった。

 

 

店の入口には施主のアイデアで

 

漆喰壁に乾燥したラベンダーを埋め込んだ。

 

 

 

その作業は皿に料理を盛る料理人の姿を彷彿した。

 

 

木工事後半は既存のアルミサッシを外して

 

設計の段階で吟味して選んだ

 

アンティーク建具を納める枠をつけて

 

そこに一つ一つ建具を納めていき

 

ようやく寒さが凌げる状態となった。

 

 

そして床を張り

 

 

外部の玄関庇やデッキをつくり終えた。

 

 

 

 

この工事期間ほぼ休みなく施主は施工に参加した。

 

そして昼食には毎日まかないをつくってくれた。

 

真冬ではあったが庭の海風に当たりながら食べる

 

温かく旨い食事があればこそ皆で頑張りぬけたのだろう。

 

 

 

最後は目玉の一つであるアール壁を日干し煉瓦で組石した。

 

この壁は客室・個室・厨房を繋げる象徴的な壁となった。

 

施工は長柄町の陶芸家である

 

「六地蔵窯」の安田さんに依頼した。

 

https://www.facebook.com/6jizo/

 

 

ちなみに日干し煉瓦の主材である粘土も

 

六地蔵窯で採取した粘土である。

 

日干し煉瓦は近隣の粘土や

 

骨材もブレンドして数種類つくった。

 

 

 

 

今回は地場の自然素材を用いることと

 

その素材も自らでつくることにこだわりたかった。

 

それがこの日干し煉瓦とトイレに使用したタイルである。

 

 

 

 

設計に3か月、施工に4か月。

 

濃厚で煩雑で筆舌しがたい現場がひとまず終わった。

 

この現場の核でありコンセプトである

 

「予算」と「納期」

 

この2つを常識外にとらえることで何とか形になったが

 

振り返ればある意味において

 

それらに今まで以上に縛られることにもなった気がする。

 

兎にも角にも大きなものが残った。

 

そしてそれが達成できたのも参加された職人・友人

 

そして何より施主お二人の尽力の賜物だと思う。

 

この場をお借りして感謝申し上げたい。

 

 

 

引き渡してからたびたび

 

客として場に戻ると懐かしさがよみがえる。

 

現場で過ごした時間以上にもっと古い懐かしさ。

 

色々あったが単純に「こんな店が近くにできてよかった」

 

というのが今の率直な気持ちである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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